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『キラリティ』の発売を記念して行なった2つのライヴの報告ページです。

 

まずは2015年1月31日に自主企画したイベントについて。
ゲストに「SAKANA」と「俺はこんなもんじゃない(OWKMJ)」、DJにスッパマイクロパンチョップさんをお呼びして、渋谷のラストワルツで行ないました。しゃしくえはこの日限りのスペシャル編制で、しゃしくえ3人だけの演奏に始まりライヴが進むにつれ徐々にサポートメンバーが増えていくという桃太郎形式を採用、最終的には11人で演奏しました。最終形態は、しゃしくえ(3人)+OWKMJ(7人)+ずんちゃん(fromぬらりひょん/ゲストボーカル)という11人。
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最初の5曲は3人で。『キラリティ』に入っていない新曲を中心に演奏。

 

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岸田さん(Dr/Per)、拓海さん(Fl/Syn/Cho)が加わってここから「しゃしくえ+α」に。『ユートム』と『私は何も考えない』の2曲を演奏したのち、ずんちゃん(Vo)が加わって『大冒険と冒険』を演奏(写真)。

 

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狩生さん(Gt)、マスダさん(Key/Cho)、あっくん(As)、添田さん(Ba)が加わって10人で『恐竜はどこへ行ったのか?』を演奏(写真)。そして最後の1人、ラスボスの武田さん(Dr)を召喚するための曲(この日初演のOWKMJの新曲)を演奏して武田さんが登場、11人に。岸田さんはここでパーカッションにシフト。

 

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11人で『家族の箱の中庭で』『岬のオランウータン』『氷の宇宙船(アルバトロス)』を演奏。メンバーが多かったのと、会場が混雑していたのとで写真が見切れていてしまっています。すいません、。半身だけ見えているのが狩生さん、キーボードだけ見えているのがマスダさんです。アンコールを頂けたので最後に再び3人だけで『Patriot songs about her』を演奏して終りました。
 (photos by Non-Chan)

 

この日のライヴの映像を、何かとお世話になっている五十嵐さんが撮ってくれました。その中から『ユートム』と、しゃしくえ+αのハイライト集をYouTubeにアップしているので、良かったら観てみてください。

 

*『ユートム』
OWKMJのテクニシャン2人、岸田さんと拓海さんの繊細な抑揚のある演奏に助けられました。中間部の拓海さんのフルートは完全即興で、素晴らしいフレーズがたくさん出てくるのですが、特に3:31のところに出てくるフレーズは自分の宝物と言いたいくらい好きなフレーズです。南米のような、ケルトのような雰囲気がありつつ、どこの国でもない無垢で切ないイメージを掻き立ててくれるような感じがして、。

 

*ハイライト集
『氷の宇宙船』『家族の箱の中庭で』『Patriot songs about her』を繋ぎ合わせたものです。個人的にプッシュしたい見所は2:29、『家族の箱の中庭で』の間奏部分で、残念ながら姿が写っていないのですが狩生さんが破滅的なサウンドのギターソロを爆音で入れてきて、その後ろで岸田さんが爆笑している場面です。このギターソロは、この曲の狂気じみたコンセプトを豊かに再現してくれています。(※追記:ハイライト集の方は公開を終了しました。2015.4.29)

 

しゃしくえのライヴレポートを先に書いてしまいましたが、この日は始めにOWKMJ、次にSAKANAのライヴがあり、最後にしゃしくえの演奏を行ないました。開演前/転換中/終演後はスッパさんがDJをしてくれました。
自分(田中)はというと、まず最初にOWKMJのライヴでギターを弾き、SAKANAのライヴを観て、最後にしゃしくえの演奏をしたのですが、主催バンドということもあって自分が演奏していない時間も何かとソワソワしてしまい、あまりイベントを楽しんだという感じではなく、アレコレこなしている内にあっという間に終ってしまいました。
今回のイベントは、せっかくの機会なので豪華にやりたいと思い、いつもお世話になっているOWKMJと、個人的にずっと大好きなSAKANA、何かと頼もしいスッパさんに出演をお願いをしました。
しゃしくえにもジョイントしてくれたOWKMJの演奏はやはりいつも通り痛快で、リリースイベントを派手に盛り上げてくれました(自分もOWKMJのメンバーなので、半分自画自賛ですが、。)。SAKANAのライヴとスッパさんのDJは、先述の通りソワソワしていたこともあって、いつものように「その世界の中に浸る」ことは出来ず自分的には少し勿体なかったです。でも、お2組の、熟成され研ぎ澄まされてきた独自の鋭さと豊かさの気配を感じ、大船に乗ったような気持ちでイベントを進められましたし、まだまだそこには追い付けなくとも今の自分たちにできる音楽を胸を張ってやろう、という気持ちになれた気がします。
それから、この日は特別に、売れっ子敏腕エンジニアでもある馬場ちゃんにPAをお願いしました。馬場ちゃんにはこれまでにも何度かPAをやって頂いたり、『キラリティ』でも数曲のミックスを手伝ってもらったりと、自分たちのバンドのことをよく知ってくれていることからお願いをしました。ラストワルツのクリアでデジタルな音響を、少し温かみのある音にしてほしいという要望にも柔軟に応えてくれました。また、大人数の編制で回線数が足りなくなったほどのヘヴィなセッティングを素早く1人でこなしてくれました。馬場ちゃんなくしては出来なかったイベントかもしれません。
そんなわけで、何となく思い描いていた、OWKMJ・SAKANA・しゃしくえ、という3世代(?)が行き交うことでその差異や共通点のようなものが浮かび上がるという、『キラリティ』のコンセプトにも通じるイベントがそれなりに上手く出来たかなと思っています。
観て下さった方はどうだったでしょうか。少し長丁場になってしまいましたが、楽しんで下さっていたら幸いです。たくさんの方にご来場いただき、本当にありがとうございました。
以下はライヴのセットリストと、しゃしくえ+αのメンバーリストです。

 

——
2015.1.31 Shacique(+α) @Shibuya Last Waltz
1. 流れの中のありがとう (新曲)
2. Istanbul Morning (song by Takashi HATTORI)
3. Jasmine (新曲)
4. 力の波 (新曲)
5. 走れ!ブルドッグ (新曲)
6. ユートム
7. 私は何も考えない
8. 大冒険と冒険
9. 恐竜はどこへ行ったのか?
10. 武田さん召喚 (OWKMJ新曲)
11. 家族の箱の中庭で
12. 岬のオランウータン
13. 氷の宇宙船(アルバトロス)
-encore
14. Patriot songs about her
——
しゃしくえ+α
田中耕太郎 Kotaro TANAKA (Guitar,Vocal,Chorus)
山本明尚 Akihisa YAMAMOTO (Piano,Synthesizer,Chorus)
大福 DAI-FUKU (Violin,Vocal,Chorus)
岸田佳也 Yoshinari KISHIDA (Drums,Percussion)
松村拓海 Takumi MATSUMURA (Flute,Synthesizer,Chorus)
萬由衣 Yui YOROZU (Vocal)
狩生健志 Kenji KARIU (Guitar)
マスダユキ Yuki MASUDA (Keyboard,Chorus)
安藤暁彦 Akihiko ANDO (Alto Saxophone,iPad)
添田雄介 Yusuke SOEDA (Bass)
武田義彦 Yoshihiko TAKEDA (Drums)

 

 

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前後しますが、2014年12月27日には、名古屋は鶴舞のK.D Japonにて『キラリティ』のリリースイベントを行ないました。トゥラリカ/トキノミノルの匠くんが企画してくれました。対バンは、トキノミノル、Regoさん、ジョンのサン。
イベントが楽しかったのはもちろん、匠くんに教えてもらった名古屋グルメも120%満喫、さらには匠くんに紹介してもらった宿泊先(ここでは詳述は控えますが)も素晴らしく、おまけに名古屋城にも寄れて、本当に充実したツアーでした。
というわけで、思い出アルバムみたいになってしまうのですが、ツアーの写真をいくつか載せたいと思います。
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左に写っているのは、東京から名古屋まで車を出してくれたザ大日如来ズというバンドの延江くん。ライヴ当日、朝早く東京を出発して早めに名古屋に着いたので、匠くんオススメのソウルフード1軒目「岩正」に行きました。正しく老舗の味というか、シンプルかつドスンとキマる名古屋味噌を堪能しました。

 

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僕は味噌カツ丼を頂きました。

 

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K.D Japonでのライヴの様子(撮影は延江くん)。前々から色々なところでたくさん話は聞きつつ、初めて行けたハポン。高架下にひっそりと建つ、2階席も備わった天井の高いライヴハウスで、上は電車が通っています。東京近郊でも「高架下にあるライヴハウス」には何度か出演したことがありますが、電車が通ると建物自体が揺れたり音響の電気系統に影響が出たりと、「ライヴ中の電車の通過」はマイナスに響く場合が多い気がします。でもハポンは、建物がしっかりしているからなのか防音がしっかりしているからなのか、電車の走る音がとてもスマートに、演奏中であってもまるでSE(効果音)のように聴こえます。電車は徐々に近付いて少しずつ通り過ぎて行くはずなのに、音が現れる時も消える時も、フェードイン/アウトするのではなく「スパッ!」と切り替わるから不思議。匠くんによると、この電車の音がハポンでのライヴ演奏に上手い具合にハマる(ハポン・マジック)、ということはしばしばあるらしいのですが、この日のしゃしくえの演奏でも、『氷の宇宙船』という曲のブレイクする部分で鳴ってくれて、予期しない奇跡的な演出になりました。
ハポンそのものの「鳴り」も凄く良かった気がします。しゃしくえが全員大好きな東京のライヴハウス「七針」のような温かみがありつつ、建物がコンクリートで出来ているからなのか、その温かい鳴りがシュッと締まる感じがあって、とても気持ち良く演奏ができました。また演奏しに来たいと思いました。
対バンの皆さんの演奏も楽しかったです。Regoさんがかわいかった。打ち上げの料理も美味しかった。
お世話になったみなさん、観にきて下さったみなさん、本当にありがとうございました。

 

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素晴らしい宿泊先で1泊したのち、少し時間があったので名古屋城へ。お堀の立札に迫力のある鷺が止まっていました。名古屋城に行ったのは「あるお店」が開店するまで少し時間があったからでもあるのですが…

 

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そのお店というのがこちら、匠くんに教えてもらった2軒目のソウルフード「BuBu」。このカレーが今ツアー最大の衝撃でした。匠くんからは普通に「カレーが美味しい店」としか聞いていなかったのですが、行ってみたらギャル曽根さんが来るほどの大盛りの店でした。写真は唐揚げカレー(これで普通盛りです)。僕はカツカレーを頼みました。しかし、驚きなのはカレーやカツそのものの味で、大盛りが売りのお店というと豪快な味を連想しますが、とても繊細に整えられ細部までこだわった味なのです。唐揚げやカツまでもが、今まで食べた揚げ物の中で一番美味しい、と思ってしまうくらいの鮮烈な印象でした。ご飯の硬さ、付け合わせのインゲンの茹で具合、サラダの新鮮さに至るまで、こだわりぬいた美学を感じました。揚げ物は1つずつ揚げているらしく、出来上がるまでとても時間が掛かるのもこのお店の特徴らしいです。僕たちは注文してから50分ほど待ったのですが「これだけ待った甲斐があった」と全員口を揃えて言いました。

 

そんなわけで、半ばグルメリポートのようになってしまいましたが、温かい名古屋の人々と食べ物に巡り会うことができて、本当に楽しいツアーでした。匠くん、本当にどうもありがとうございました。

 

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こうした充実したライヴとツアーを東京と名古屋で行えたことで、バンドを続けてきて、CDを出すことが出来て本当に良かったと思いました。
またそのうち東京近郊以外の土地にもライヴをしに行けたら良いなと思っています。

 

2015.3.2
しゃしくえ 田中

 

キラリティ